L5空域

「司令、作戦開始まで30分です。」
「わかった、第三艦隊、第一機動艦隊、全艦横一文字隊形に移動。」
「了解」

最大加速故に艦体がビリビリと振動を起こしているがパブリク型突撃挺の編隊は全面にソロモンで埋まる距離まで進んでいた。

「最終加速まで20!」

乗組員に緊張が走る

「最終加速!」
「了解!最終加速!」

突入する突撃艇のノズルに吹き出るプロペラントの量が増大し、燃焼爆発の炎が強くなり、パブリクは加速してゆく。
が、ソロモンからの迎撃も激しく、撃破される数も増えて行く

「2号挺被弾、落後します!」
「102号挺、爆沈!!」

ブザーの音がポイント到達を伝える

「よし!ここだ!!ミサイル同時発射!!」

挺長の声に水雷長が大きなレバーを引き下げる。
挺体とほぼ同じ大きさのミサイルが2発発射され、後続のパブリク型突撃挺も次々とミサイルを発射する。

「やった!!」

離脱を指示する間も無くパブリク1号挺はミサイルによって爆発し、光と化した。


「敵は強力なビーム攪乱膜を張ったようです。」
「ザク、リックドムの部隊は敵の進行に備えろ!!敵は数が少ない!ミサイル攻撃に切り替えろ!ミルバ隊は左翼に展開、
ハーバード隊は後方から動くな!ティアンムはどの方向から来るかわからんぞ!!」
「敵艦隊は横一文字に展開。」

ソロモンではドズル・ザビ中将の声が響いていた。


「ワッケイン司令、ビーム攪乱膜成功です。」

コウ達、MS部隊はは艦隊の頭上で編隊を組んで待機していた、

「各艦、任意に突撃!各モビルスーツ隊発進!!」

総司令ワッケイン少佐の声が通信機に響く

「ようし!行くぞみんな!!」
「「「了解!!!」」」

向かって来るリックドムの部隊に突撃した。

「全機武器使用自由!573戦隊の力を見せ付けてやれ!!」
「前衛はコウのA、Bに任せろ!C、Dは支援だ、といっても白兵もあるぞ!」

対MS戦になれていないジオンの兵士は連邦のMSに苦戦するがそこは腕でカバーしていた。

「おのれ!連邦の雑魚どもがぁ!!」

アナベル・ガトー大尉は叫びながらもジムを次々と撃破していった。

横一文字では味方の被害が増えるのを見て、レイはサキに指示を出した。

「ヘスペロス前進、突出させる!573、133でアローヘッド1で展開!」

レイが突撃の指示をだす。

「52サンチ砲、右門3式弾!左門通常弾で斉射!」
「艦長、ミサイルです、」
「20サンチ砲、斉射!撃て!!」

ビーム兵器主体な連邦艦隊において実体弾兵器が主武装にあるのはペガサス級とヘスペロス級とヘスペリス級なので
自らのビーム攪乱膜で主砲が使えない艦隊の前に出ざるおえない

「3本の槍か・・・」
「?ワッケイン司令?」

ワッケインは中央のヴァルハラ、左翼のハイペリオン、右翼のヘスペロスの突出をこう例えた。

「みんな、あと5分だ後5分がんばれ!」

コウの声がモニターより流れる。

「まだだ!まだ沈んではならん!!ミサイルを撃ち尽くすまでは!!!」

「23戦隊、壊滅!」

戦場は激戦を極め、人の命の輝きは数を増すばかりだった。





「なにィーっ!?ばかな!サイド1の残骸に隠れていたのがわかりましたァ?」
「ラコット!どうしたか?」
「ティアンムの主力艦隊です」
「ふむ・・・衛星ミサイルだ!!」

ドズルの命令で隕石にエンジンを取り付けただけの衛星ミサイルに火がついた・・・

「戦艦グワランとムサイを向かわせろ!」

ドズルが次々と命令をする。
副官のラコットがコーヒーをドズルに手渡しながら尋ねた

「第七師団に援軍を求められては・・・」
「すまん・・・キシリアにか?」

グラナダかア・バオア・クーの戦力が追加されればこの戦闘の勝利は確実なのだが・・・

「これしきのことで!国中の物笑いの種になるわ」

エゴがソロモンの将兵の命運を決定した瞬間だった・・・・





「キャア!!」
「ミラ!!」
「大丈夫か?」

ミラの機体に背後からバズーカの弾頭が直撃する。
炸裂弾では無かった事が幸いし、推進剤の誘爆は免れている。
ヒートサーベルで止めを刺そうとしたリックドムはアヤコが狙撃し撃墜した。

「くっ・・・ど、どうにか大丈夫・・・」
「アヤコ、艦まで護衛してくれ」
「了解」
「大丈夫よ・・・」
「んなワケねーだろ!損傷度C中破だ、ミラ・カガミ少尉、帰還せよ!」
「ヨシオ・・・まだ戦える・・・」
「命令だ!」
「うぅ・・・了解・・・」

二人を戻したヨシオは、ノゾミとドムの部隊と戦闘を再開した。
ヨシオが命令するのはほとんどないのだ、それだけミラの損傷は酷かった。

「コウ!!」

衛星ミサイルを撃破して、カウンターを見たシオリが叫んだ。

「時間だ・・・」

ソーラーシステム、400万枚を越える鏡の集合体である。ティアンム艦隊はこれの展開の為に残骸に隠れていたのだった。

「迎撃機接近、各艦注意!」

旗艦タイタンではティアンムが冷静に言い放つ

「構うな!照準合わせ急げ!!」

制御の為にタイタンのコンピュータは限界で可動していた。

「これよりソーラーシステムの照射を開始します。焦点軸上から退避して下さい。防眩フィルター用意、」
「目標ソロモン右翼、スペースゲート。」

ソロモン攻略戦は後半に入った。





「第6ゲート消えました!敵の新兵器です。」
「な、なんだぁ!」
「レーダー反応無し!エネルギー粒子反応無し!」
「レ、レーザーとでも言うのか?方位は?」
「敵、主力艦隊です。」
「グワラン隊が向かっているはずだな?」
「ハッ!」


「すごい・・・これが連邦の新兵器なのか・・」

「ソロモンが焼かれてゆく・・・」

通信にパイロット達のつぶやきが混じって聞こえた・・・

「指令、全MS交戦にはいりました。」
「よし、タイホウ前進、艦隊の前に!」
「敵MS右前方より飛来!」
「前進止めるな!迎撃!!」



「全機いったん戻って補給するぞ」
「了解だ、コウ!」
「コウジ!ジュン!交代だ前に出ろ!!」

艦隊の直衛に残っていたコウジの小隊とジュンの小隊がノズルをふかして前線に向かう

「少佐、」
「なんだ?ミサキ少尉、」
「タイホウが沈みました・・・」
「な・・・」

コウだけでなく、待機BOXにいた全員の動きが止まった・・・

「マーティン准将はどうした?!」
「艦橋に直撃して・・・」
「そうか・・・」

恩師の死に一同は震えた

「D小隊、補給完了」
「ようし、先に行くぞ!コウ!」
「ミラはどうなった?」
「救護ルームで絶対安静だ・・・」
「そうか・・・」

ミケを含む下僕の献身の中、ミラは眠っていた。

「この戦争、早く終わらさないとな・・・」
「何か行った?コウ。」
「ん、なんでもないよ、シオリ。」

ヨシオ、アヤコ、ノゾミ、アカネのテールノズルがソロモンへ向かって行く

「コウも何か食べておく?」
「あぁ・・・」
「なんだぁコウ、沈むのは後にしろ、後に。」
「ケイ・・・そうだな。シオリ、俺はチキンバーガーね、」
「まったぁ?コウってチキンバーガー好きね、」
「そうですね〜コウさんがそれ以外を食しているのを見たことありませんわね〜」
「シオリも、ユカリまで・・・いいだろ?好きなんだから。」
「フフフフ」
「ハハハハハ」

待機BOXに笑いがあふれた

「ジム補給完了、ガンダムは2分の補給遅れ」
「な、」

自分の機体の補給遅れに気がはやるコウ。

「仕方ないな、コウ。」
「カツマ、頼むぞ。」
「了解。」

先にデッキに向かったカツマ達を見送り、コウは残っていたコーヒーのパックに口を付けた

「あとはソロモンに取り付くだけだ、ゆっくりいちゃついてから来い。」
「な・・・ケイ!何言ってるんだ!!」
「そうよ、ケイ、私達はまだそんなんじゃ・・・」
「ふぅん・・・まだ、ねえ・・・」
「あ・・・」

つい言ってしまって、真っ赤になるシオリだがコウは気づかずにケイを捕まえてデッキへ漂った

「馬鹿・・・こんな時に何言うんだ、俺の計画が・・・」
「ほぅ、計画ねぇ・・・」
「が・・・」
「ま、いいでしょう、ガンバレよ」
「ぐぅ・・・そ、そういうケイもナオミとしっかりやれよ。」

ぐわん!!
フイをつかれたケイは見事柱にぶつかった

「ぐはぁ・・・い、痛え・・・」
「俺は知ってるぞ、毎晩ナオミがケイの部屋に行っているのを。」
「な、なぜ知っている?」
「極秘情報だ。」
「そうか、ヨシオだな・・・戻ったら覚えてろよ・・・」
「まぁまぁ、お互い様って事だよ。」
「フ、そうだな。」
「ケイ大尉、補給完了です。」
「そら!先に行って来い!!」
「了解、隊長殿。」

ケイは先に編隊を組んで待っていたナオミ、パット、キョウコ、トオルに声を掛けた。

「待たせたな、行くぞ!」
「了解!」

カツマ達はすでにソロモンの輝きの中にいた。

「コウ・・・」
「あぁ・・・」
「みんな生きて戻って来れるかな・・・」
「大丈夫、戻って来るさ・・・と、言いたいが解らないよ、シオリ。」
「そうだよね・・・」
「シオリは俺が守る、そして生きて戻る。約束するよシオリ。」
「うん・・・」
「ガンダム、補給完了。」
「行くよ、」
「はい。」

その物陰には・・・

「いいなぁ・・・少佐・・・」

ハヤカワ中尉がいた・・・

ソロモンでは大混戦状態になっていて先行した573戦隊のみんなは各個ばらばらに行動していて、そのなかで
ケイ達はジオンのMSを撃破しながらソロモンのスペースゲートの一つにたどり着いた

「そこのジム、状況知らせ!」

通信モニターには階級を提示出来るようになっているために戦場でも階級のトラブルはあまりなかった。

「ハ、このゲートにいる敵が強く、侵攻できません。」
「そうか、どんな奴だ?」
「隊長らしき機体は水色のスカート付きです。」
「な・・・水色?・・・」





ケイはTMM専科コースを出てから宇宙軍に配属されていて、フライアロー制空戦闘機の宇宙型、スペースアローに乗っていた。
12月、開戦直前ケイは政府要人の乗ったシャトルの護衛任務に母艦とサイド2にあった。

出発までの短い半舷休息、スペースポートにてケイは予想もしない人物に会った。

「お兄ちゃん!」
「な、なんでここに、」
「へへへ、今度のシャトルには私も乗って行くんだよ!」
「そうなのか?」

ケイの妹ノアは政府の植物観察官として研修の為にサイド2に来ていたのだった。
短い正月休みを一緒にすごし、サイド2から移動する日がやってきた。
その時にジオンの部隊が近くに潜んでいるのを気付いた者はいなかった。

「帰ったら、母さん達によろしくな。」
「うん、わかったよシジョウ中尉さん!」
「コラ!」
「きゃははは!」

元々再婚同士の親の為、周りからは恋人に見える兄妹だった。

「お兄ちゃん・・・会えてよかった。」

ケイの母艦を見つめてノアは呟いた

「今度会った時は告白するね、ケイ・・・」

シャトルが発進してケイも母艦から発進した。

「中尉、カタパルトOK、進路クリアー、発進どうぞ!」
「了解、237番機、シジョウ出るぞ、」

グン!Gを受けながらケイはシャトルのノアを思った。が・・・

「ミノフスキー粒子急速上昇」
「通信・・・ガガガ・・・敵・・・ガガガ・・・ビームが・・・」

ジオンのムサイの攻撃でケイの後ろにいた空母が轟沈した。

「何?ジオンなのか?」

ケイは機体を攻撃のあった方に向けた、

「クライムの隊はシャトルを守れ!残りはついてこい!!」

ケイは仲間と共にジオン艦隊にたった5機で向かっていった。しかし・・・

「中尉!一つ目がぁ・・・」

僚機がザクによって次々に撃破されていった。
ケイは水色のザクと交戦しつつシャトルに近づいてしまった。

「くそ!シャトルのそばに来ちまった・・・クライムは?」

ケイの眼には撃破されるクライムが映った。

「俺だけか?サイドの駐留部隊は?・・・」

核の光

「サイドが崩壊している・・・」

自分を的にしつつシャトルを守り、サイド2を離れようとするケイを水色のザクのマシンガンが火を噴いた。

機体後方に弾を喰らいケイは衝撃でコンソールに顔をぶつけ割れたシールドの破片が左目に刺さった。
気を失う直前、残った右目には爆発するシャトルとそれを狙撃した水色のザクが見えた・・・

「・・・ノ・・・ア・・・」

ルナUから偵察に来た潜宙艦に救われて一命をとりとめたケイは無理を押して、シローアマダ少尉らの乗るシャトルで
ジャブローへ降りた、そこでコウ達に再会する。





「まさか、奴なのか?」
「ケイ!どうしたの?」
「あ・・・あぁ、ナオミすまない・・・」

ケイは動揺をおさえると一気に突進した、

一方、コウとシオリは

「コウ、なにか感じない?」
「あぁ、11時の方向だな、」
「なにか悪い予感がするの・・・」
「俺もだ、行ってみるか・・・」

そこに仲間の何機かが近づいてきた

「コウ!」
「ユウコ、とユカリか、無事な様だね、よかった。」
「他のみんなは?」
「はぐれてしまいましたの・・・」
「そう・・・」

後退の発光信号を確認すると、コウ達は攻撃対象を戦闘を仕掛けてくるジオン兵に絞り大型MAのいる空域にむかった。
しかしたどり着いた時にはガンダムによってビグザムは爆発の閃光の中だった

「すごいな・・・ガンダムとはいえたった1機で・・・」

コウ達は武器を失ったガンダムがジオン残存MSに攻撃されぬ様に護衛する形で取り囲んだ

「燃料の残量はどのくらいだ?」
「ガンダムはあと3分は戦闘行動がとれます、少佐。」

コウは自分の機体から増漕を外すとガンダムに取り付けた

「規格は合っているハズだ。」

そして予備のマシンガンを渡した

「ありがとうございます」
「敵は後退を始めている、追撃戦になるだろうから母艦に戻った方がいい」
「ホワイトベースはヘスペロスの向こう側に位置してるわ、コウ」

5機は編隊を組んで母艦の空域に向かった

「ジオンの脱出艦艇がこっちに向かっているだって?」
「はい、艦長。」

573戦隊が展開する空域はまともにジオンの艦隊の前にあった。

「近くの友軍は?」
「10戦隊と13戦隊です、あとは単艦で合計20隻。」
「全艦に通達、砲撃戦準備、縦列体型で頭を押さえる。」
「了解」

周辺の艦艇は右舷をジオン艦隊に向けると稼働する砲塔を向けた
レイは指揮を10戦隊ハイペリオンのタキマ大佐に渡した

「コウジの部隊は突入させろ、艦隊直援は気にさせるな、」
「主砲、有効射程距離に入りました!!」
「斉射!!」

マゼランなどの戦艦は自然と大型のドロワに火線が集中するがその防御力に有効打を与えられずにいた

「ムサイにかまうな!あの大型艦を沈めれば今後有利になる!!」

そう叫んだマゼランの艦長は直後にブリッジごとリックドムによって粉砕された、

「カリウス!敵はまだいるのだ!気を抜くな!!」
「ハイ!大尉!!」
「306に手柄を持って行かれるなよ。」

一方コウジ達は大物に手を出さずに確実にムサイを一隻づつ沈めていった

「まずい!全機ヘスペロスの援護に戻るぞ!」
「了解!!」

死にものぐるいで突入してくるジオン艦隊は一点に攻撃を集中させ、その牙はヘスペロスにも及んできた

「右舷エンジン被弾、燃料パイプ付近です。」
「誘爆の危険があるので切り離します。」
「艦の左舷を敵に向けるんだ!」
「メガ粒子砲、エネルギー供給弁大破、52サンチ砲、射撃は可能ですが自動旋回は不能です」
「退艦の準備を・・・」
「MSに52サンチ砲を旋回させろっ!」

 ズゥゥゥゥン

「キャァァァァ!!」
「右舷MSデッキ直撃、大破」
「レジェンドウッドが艦の前に・・・」
「アカギ艦長!!」

すでにウッドの乗員は半数が脱出し始めている、ウッド所属のボールも残存は1機で脱出するランチを守っていた。

「レイ、早く離脱しろ、こちらはもう持たない。」

ノイズが入るモニターにウッドのアカギ艦長が写った。

「そんな・・・」
「ヘスペロス、損傷度50%、右舷沈黙!このままでは行動がとれなくなります!!」
「グズグズするな!!」
「でも・・」
「でもじゃない!!みんなの戻ってくる場所を確保するのもレイの役目だ。」

アカギはブリッジクルーも退艦させていて一人で操艦していた
モニターの中にもブリッジの炎がしっかりと見える

「ケイスケさん、アナタも早く!」

この瞬間、レイは軍人ではなく一人の女に戻ってしまっていた。

「君をを守って死ぬなら本望だよ、レイ。」

一機のザクがウッド目がけて突入して行く

「奴はソロモンの死神だ、あの06Rを止めるんだ!!」

コウジはザクに描かれた死神を確認するや叫ぶ

「そんな事言ったって!!!」

ジュンイチロウはキャノンを連射するが牽制にもならない・・・
MS−06R−1、残存するすべてのR−1型がR−1A型に改修されたはずだったのだがこの機体はR−1のままだった

「バズーカの残弾は一発、目標はあの木馬タイプだな、」

パイロットのユージはつぶやく

「チッ!!」

アカギはウッドをザクバズーカの射線上に飛び込ませ
弾頭はウッドの艦首に吸い込まれ爆発した

「くそっ、失敗か!!」

ザクは一撃離脱のスピードだったので仕方無くそのまま通り過ぎていった

「クッ!!まだだ、まだ沈むな!!」

誰かがアカギを殴り倒した

「グッ・・・だ、誰だ・・・」

崩れ落ちるアカギ

「レイ様、」
「ソトイ?いつのまに?」
「このままアカギ様をライフボートで射出します、拾ってください」
「ソトイはどうする?」
「もう脱出は不可能でしょう・・・このまま砲撃しつつ敵に突入します」
「・・・」
「さらばです、レイ様」

ライフボートを射出した直後、レジェンドウッドは爆沈した

「ヘスペロス、戦域より離脱、レジェンドベルに援護を!」

ジオンの艦隊は自らの被害も省みず強引に突破していった
後から合流した艦隊が追撃したがジオンのアナベル・ガトー大尉のYMS−14が放った試作ビームバズーカの前に
藻屑と散った、「悪夢」の言葉を残して・・・

「ソトイ!なぜ死なせなかった!!」

アカギはライフボートからレジェンドウッドの残骸を見ながら嗚咽をもらした




「くそぅ!!!」

わらわらとあつまるジオンのMSにケイは水色のドムに有効打をあたえることが出来ずにいた

「大尉、ザコはまかせて下さい」
「トオルか?よしっ頼むぞ!」
「私がバックアップに付きます。」
「ナオミ、頼む。」

ケイはナオミを伴い、再度突入する

「何だってんだ、あのガンダム、俺ばかりを狙ってきやがる・・・?・・・あのエンブレムは・・・」

ドムのパイロット、マサム・ベイラ大尉には見覚えがあった、一週間戦争の際、サイド2の首都コロニーを核攻撃した時
最後まで抵抗していた連邦の空間戦闘機部隊の部隊章だ。

「なるほど、あの部隊の生き残りか。ならば相手をしてやらんとな。」

マサムはドムにバズーカではなくマシンガンを両手に持たせガンダムに向かった

「ほう、あのスカート付き出てきたな。」
「ケイ!」
「ナオミ、雑魚を寄せないでくれ。」
「解った。」

ケイはビームライフルを連射モードにして撃つがわずかにドムはかわす
元々ケイはビームを当てるつもりは無く、拡散したビームは目的通りにドムの装甲に小さな穴を開けていったのだ。

「何だ?ヤツは・・・白兵狙いか!」

ビームライフルを捨てたケイはサーベルを抜き突進してきたのでマサムはマシンガンを連射するが
ガンダムの装甲はルナチタニウムでありマシンガンクラスでは貫くことが出来ないのだ
無駄を悟ったマサムはヒートブレードに切り替えて横殴りに振るった、
スピードを殺せなかったケイのガンダムは腹部に衝撃が走る

「グッ!!!」

ガンダムの右側面のモニターが破裂し、その破片はケイの体に刺さった
しかし先ほどのビームによって装甲、関節の強度が極度に低下していたドムの腕は肘から折れた。

「何だと?リック・ドムの装甲はこんなに脆いはずがな・・・」

マサラの意識はそこで消えた、コックピットを貫いたビームサーベルで消滅したのだ。

「・・・ノア、仇はとったぞ・・・」

コックピットに火花が飛び散る中、そう呟きケイはどうにかノーマルスーツの穴を応急処置していた。
隊長機を失い混乱し始めたジオンのMSに近辺にいたジムやボールが殺到してそのゲートの制圧は完了した。




「かなり酷い状態だな・・・」

573所属MSがコウを中心に警戒態勢を取る

「レジェンドウッド、撃沈、ヘスペロス、中破、レジェンドベル、小破・・・か・・・」
「直援のボールも3機しか残って居ないわ・・・・」

帰還してきたコウがヘスペロスを見た第一声がこれだった
戦闘が終了してコウ達573戦隊のMSが次々と帰還してきたのだが、傷ついていない機体はほぼ無い。
一番に傷ついた機体、それはアヤコの機体だった、

「そうか・・・ノゾミが・・・」

早くにビグザムを捕捉していたノゾミはそのビームの直撃を受けアヤコの目の前で消滅していて、アヤコの機体もその余波で大破していた、
他には右舷MSデッキの大破により整備員の半分が死傷、ナツミもユミもベッドの上だった
コウ達は中央デッキと左舷デッキに分散して着艦する、損傷軽微なMSは補給して直援として残った。


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