第一章
第1話「災いを招く者」





 神暦(しんれき)1515年夏、一つの街が突如魔族達に襲われ、全滅寸前にまで追いつめる事件が起きた。街を治める領主七瀬留美はすぐに帝都エターナルへと伝達兵を送り、時の皇帝、折原浩平は、調査員を20名程送り、調査員達は、僅かに生き残った者達から、襲撃当時の事を、一人一人から聴取した。
結果、解った事がいくつか上がり、その解った事を書類にした物を、帝都へと持ち帰り、浩平へと手渡した。
 浩平は書類を読んだ後、すぐに重臣達を招集し、会議を開いた。




 御音帝国帝都エターナル エターナルキャッスル内大会議場

浩平「皆に集まって貰ったのは他でもない。先日、七瀬領のオトメ街で起きた、魔族襲撃事件に関して、皆の意見を聞きたい。」
 
浩平は一同を一瞥して会議開始を宣言した。
今日集まったのは、

七瀬領領主   七瀬留美 (七将軍の一人 乙女流免許皆伝)
里村領領主   里村茜  (七将軍の一人 5人の大魔導士の一人)
上月領領主   上月澪  (七将軍の一人 物真似士の一族)
椎名領領主   椎名魁斗 (七将軍椎名繭の父親)
御音帝国皇妃  折原瑞佳 (浩平の妻)
御音帝国宰相  深山雪見 

に、浩平を含めた7人だった。もう後3人将軍はいるのだが、彼等は別任務に就いてる為、今はこの場にはいなかった。

七瀬「じゃあ、私から調査内容を報告するわ。」
     
水色の髪、ツインテールの髪型の、17〜18才に見える少女が立ち上がり、持っていた書類を読み始めた。
     
浩平「ああ、よろしく頼む。」
七瀬「まず、襲って来たのは中級魔族のオーク、下級魔族のホブゴブリン、下級魔物のゾンビドッグに同じ下級魔物のジャイアントマウスよ。」
椎名父「ほう。どれも御音ではここ最近現れた事のない奴ばかりだな。」
七瀬「はい、今までは氷狼(アイシクルウルフ)やリカントなどが主でしたので、戦った経験のない相手ばかりだったせいか、
兵達の対応が遅れたのも、被害が大きくなった原因の一です。」

七瀬は少し悔しそうに顔を顰めた。

瑞佳「一つ?じゃあ、原因はまだ有るの?七瀬さん。」
瑞佳が七瀬に尋ねた。皇妃になる前は、同じスクールに通い、共に色んな分野で競い合ったライバルで有り、親友だった二人だ。その仲は、今でも変わらない。
七瀬「ええ」

留美は瑞佳に対して肯くと、一同を見回して、そして書類へと視線を戻した。

七瀬「魔族達は、ただ闇雲に街を襲っていた訳ではないようなのよ。」

留美の言葉を聞き、驚きを表す面々。

浩平「それはどう言う事だ?七瀬」
七瀬「街の住民からの調査をまとめると、魔族達はある一人の男を狙っていた節が有るのよ。」

七瀬自身も、あまり納得がいってない顔をする。

雪見「男?人間の男を?魔族が集団で狙っていたと言うの?」
七瀬「ええ。事実、今回襲撃してきた魔族を、たった一人で皆殺しにしたのも、その狙われていた男だったらしいわ。」
私は見た訳じゃないからね・・・と、七瀬自身も半信半疑と身振りで示した。
茜「・・・それが事実ですと、たった一人が、国の軍隊並みの力をいると言う事になります、浩平」
浩平「・・・茜の言う通りだな。」
七瀬「住民達の殆どが同じ事を言ってるから、真実だと思うわ。」
七瀬がそう締め括って、着席した。




それから30分程議論が続き、幾つかの対策が決定した。


浩平「では、七瀬は教会へ。茜は今日ここにいない将軍達に通達。深山先輩は、隣国達への連絡と要請を頼む」
3人「了解!!」

七瀬、雪見、茜はすぐに会議室を後にし、それぞれの任務に就いた。



浩平『国の軍隊と同等の力を持つ男・・・か』

浩平は、一人ほくそ笑んだ。

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