第一章
第2話「教会」




◆御音帝国  帝都エターナル貴族街中央広場

区画がきちんと整理され、豪奢で大きな館が建ち並び、緑豊かな区画、別名【貴族街】と呼ばれる区画に、私がいる教会が有ります。

私の名はフェリシア・B・エステリーテ。今は教会のトップ法皇の地位に就いています。
私としては、法皇にはあまりなりたくなかったのですが、過去の実績や実力を考慮されて、私以外にいないと言う、大司教数人による推薦で、やむなくこの地位に就きました。


「ふう…」
 
今日の雑務を終わらせた安堵からか、つい溜息が出てきてしまいます。
一言で雑務と言いますが、以外とその種類は多く、就任したての頃は、慣れるのにそれは凄く大変な思いをしました。



私達教会の活動は広く、表の活動として、今世界最大の信者数を誇る【神教】の布教活動や、慈善活動の推進等を。
ですが、公然の秘密ですが、裏では対人・対モンスターを想定した職業・ハンターギルドの元締めを始め、完全な退魔・対魔組織、【埋葬機関】を取り纏める活動をしています。
詳しくは、別途の設定を閲覧下さいね。
私も、元は埋葬機関で第一使徒として、そしてハンターとしてはSSランクハンターとして活動していました。だからこそ、今の地位にいるのですけど…。



今日の雑務を終えて、帰ろうとした矢先、ドアがノックされました。
 
「どうぞ」
「失礼します、法皇様」
 
シスターが一人入ってきましたね。
  
「何か急用ですか?」
「はい…。皇帝様からの使者の方が、来ていらっしゃいます。」
「皇帝様から?…至急お通しして下さい。」
「畏まりました。」
 
シスターは一礼すると、私の部屋から出ていきました。皇帝からの使者と言うのは、どういった用件なんでしょうか…。
しばらくして、七瀬将軍が私の執務室に来室されました。



「お久しゅう御座います、七瀬様」
「ええ、久し振りね」
「でも、将軍自らがお越しになられるなんて、それ程火急のご用件なんですか?」
「ええ…。もう貴女の耳にも、情報が入ってると思うけど…」
 
確かに入っています。あの調査団には私の部下も何人か密かに潜入させましたから。でも、ここは少しとぼけておきましょうか。
 
「ええ、それなりには…」
 
情報網には、かなり力を入れましたからね…。情報を制す者は世界を制すとも言いますし…。
 
「なら話は早いわ。魔族に狙われた男に対し、討伐、或いは生け捕り命令が下ったわ。」
 
………陛下は判断が早いですね。
 
「そうですか…。報酬の初期設定と、対象ランクはどの様に致しますか?」
 
これも、後程説明しますね♪
 
「ランクはSS、初期設定は5000000G(ガルド)よ。」
「妥当ですね。解りました。明日の夕方までには、全世界の教会及びハンターギルドに通達しますわ。」
「ええ、よろしくお願いするわ。」
 
七瀬さんは、そう言って帰っていかれました。あのドスドスと言う歩き方、自分の領地がやられたせいでしょうね、だいぶ怒り心頭の様です。





さて、雑務は終わりましたが、やる事が出来ましたね。早速手配を致しましょう。
でも……、魔族に狙われる男…、いきなりSSでの公示ですか……。





翌日、正式に世界中の教会及びハンターギルドに手配が回り、ハンター達は久し振りの大物の指名手配に、ウォンテッドカードを求めて、教会やハンターギルドに大挙した。



指名手配書に似顔絵はなく、ただ特徴のみが記載されていた。

・ 銀髪にブルースカイの瞳、上下黒い服。
・ 聖光を発する剣と、漆黒の闇を司った様な剣を持つ。
・ 彼の者の拠る所、魔族が必現し、民達に災いをもたらす者


討伐又は生け捕りにした者には報酬を与える。




通称「災いを招く者」

[PR]動画