祐一の目が、 驚きに見開かれた。

 祐一の目の前に、 頬をほんのり紅く染め、 目を閉じた神魔の美しい顔が有った……。

 唇から、 神魔の柔らかくて暖かい体温と、 唇の感触が伝わってくる。

 祐一は、 神魔に倣う様に、 ゆっくりと目を瞑った。



























           外伝第6話 「 告白……。 」





















 「 ………… 好き ………… じゃ …………。 」

 唇と唇が離れ、 神魔は膝立ちになり、 目線を祐一の高さと同じにして、 恥じらいながら、

 ポツリと呟いた。

 「 祐一…………、 我は……、 ううん、違う……。 私は、 祐一の事が…………、 好き…………。 」

 そう言って、 祐一の胸に額を張り付けて、 神魔は俯く。

 「 ………… お姉ちゃん ……。 」

 「 ずっと、 悩んでいた。 4000年も生きていて、 最初、 この気持ちが何なのか、

 理解出来なかった……。 アユが、 祐一に親密に接するのを見て、 モヤモヤした気持ちが、

 私のここにどんどん生まれて……、 大きくなって……。 」

 自分の胸に人差し指をあて、 潤んだ瞳で祐一を見つめる神魔。

 「 でも、 ローズレッドがアーデルハイトと接するのを見て、 そして……、 ローズレッドにこの気持ちが何なのか聞いて……、 やっと解った……。 」

 そっと祐一を抱き締める神魔。

 「だけど、私は4000才を超える、魔族を束ねる大魔王の一人娘。対して祐一は、まだ8才の人間の男の子……。普通に考えれば、誰もがおかしいと言うだろう……。」

もっとも、 それがおかしいと思う様になったのも、廻りのつがいでいる者達を見て、やっと理解したんだけど……。と、神魔は消え入りそうな声で呟く様に言った。

 神魔の閉じられた両目から、 涙がポツリ……、 ポツリと零れ落ちる。

 「 だけど、 私は祐一に……、 貴方に!! ………… 恋に落ちてしまった …………。 」

 祐一の顔を見上げる。

 「 自分でもおかしいと思っている。 だから、 何度も諦めよう、 想い切ろうとした。…… だけど ……。 」

 再び俯く神魔。

 「 何度そうしようとしても、 以前よりも更に想いが強く、 大きくなってしまうだけだった……。 」

 そして、 意を決して、 神魔は顔を上げた。

 「 祐一、 私をフッて欲しい。 そうすれば、 私は諦めがつく。 今なら、 傷も浅くて済む。

 以前の様な、 友の様な関係でいられる。 」











 神魔は、 ジッと祐一の目を見つめた。

 そして、 祐一も神魔の視線を受け止め、 かつ神魔の目をみつめる。

 「 …… お姉ちゃん。 」

 「 …… 何? 」

 不安気に祐一を見つめる神魔。

 「 ボク、 お姉ちゃんの事、 大好きだよ。 」

 「 …………。 」

 「 でもね、 今ボクの心に有る好きが、 お姉ちゃんがボクに求めてる好きと同じなのかどうか、ボクにはまだ解らないんだ。 」

 「 ……。 」

 「 だから、 お返事はボクがそれを理解出来るまで、 待って欲しいんだ。 …… ダメかな?こんなあやふやな答えじゃ……。 」

 「 いや …… 待つ。 」

 そう言って、 神魔は祐一を抱き締めた。

 「 お姉ちゃん……。 」

 「 祐一の言う通りだ。 私は待つ。 祐一がちゃんと理解して、 返事をしてくれるのを。 それまで、この恋は諦めたりしない。 」

「 …… お姉ちゃん ……。 」

 「 だから、 祐一もゆっくりと考えて …… ね? 」

 「 …… うん!! 」

 そう言って、 再び、 だけど今度は二人共微笑を浮かべながら、 唇を重ねた。-























 翌日、館を後にした一行は …… と言うか、ルシフェルとローズレッドとアユは、前を歩くバカップル (一方的に神魔が祐一にベッタリ)を見て、苦笑いを浮かべていた。

 「 うぐぅ……、 何だか、 一日で格段に神魔様の祐一くんベッタリ度が、 増した気がする……。 」

 「 何だアユ? お前も負けじと、 抱きついてくればいいじゃないか? 」

 愛娘にハッパをかけるルシフェル。

 「 フフフ。 でも、 ここ最近の神魔様は、明らかに御自分の気持ちの事で、 悩み苦しんでいましたからね。
昨日、祐一と話をして、今一番ベストな答えが出たのでしょう。 神魔様も、 サッパリとした笑顔になってますよ。 」

 「 …… うぐぅ? 」

 「 鈍いなぁ、 アユ。 神魔様は、 祐一の事を本気で好きなんだよ。 」

 「 うぐ …… うぐぅ!!?? 」

 「 アユ。 お前も祐一が好きなら、 負けずにアタックするんだな。 恋に身分は関係ないぞ? 」

 「 うぐ …… わ、 解ったよ。 祐一く〜〜〜ん!!! 」

 そう叫んで、 祐一達の下に駆けて行くアユ。

 二人の所に行き、 祐一に二言三言何か話し、 それに神魔がムッとして、 アユと神魔が言い争いを始めた。






 「 これは……、 先が読めない分、 面白くなりそうだな。 」

 「 人が悪いですね、 ルシフェル。 でも、 同感です。 」

 大人? 二人は、 そんな3人を楽しそうに見つめていた。



 「 祐一は我の想い人じゃ!! 誰にも渡さん!! 」

 「 うぐぅ!! こればっかりは、 いかに神魔様でも、 譲れないんだよ!! 」

 …… かなり剣呑な雰囲気だけど。

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