地球とKANONの丁度中間点にあった資源惑星Σ−145、
力の均衡する両軍は、この空域で衝突する事が良くあり、
現在
両軍の主力艦隊の戦闘真っ最中であった。



地球艦隊旗艦、宇宙戦艦ムスペルスヘイム

艦長の声が響く。

「状況は?!」
「友軍の半数が反応無し、残存艦艇も、トータルダメージを3割を越えています。」

シートに座らず、さらに宇宙服をも着ていない艦長は、
次々と送られてくるデータを見ながら、指示を出す。

「左陣が崩れて来ている!護衛の35戦隊を回せ!!」
「了解!」

ブリッジの右前方に存在していた宇宙巡洋艦が、ビームの槍に貫かれて轟沈した。
ぶつかる破片がムスペルスヘイムを大きく揺れさせる。

「キャァァァ!」
「防空巡洋艦ガングラティ沈没!」

大きな破片を喰らった部署の人員が宇宙に吸い出されて行く。

「右舷対空機銃指揮所破壊されました!!」
「右舷機銃座近辺の人員は、至急機銃座へ!」

司令は黙ってモニターの戦況を睨んでいる。

「我が艦の攻撃隊は?!」
「相沢隊、ロヴァン隊、ライセン隊の6機が健在!!久瀬少尉機が待機!」
「クッ・・・・・」
「相沢隊が敵旗艦への突入の打電がありました。」

艦長はモニターを切り替えて、敵旗艦に向かう二つの光点見る。

「・・・・祐一・・・・・」

戦闘空域

「残存ミサイルは?」

パイロットシートのパイロットが後ろのガンナーシートに声をかける。

「Cパート、Dパートの2斉射!」
「OK!」

1機の戦闘攻撃機が加速し、ペアの機体もそれに続いて加速する。

「目標は?」
「正面の戦艦を殺るぞ!!」

スティックを握り直し、スロットルを入れる。

「正面2時、敵機6!」
「OK」

スティックの上部にあるパルスレーザーのボタンに指をかける。
迎撃の戦闘機とすれ違った瞬間、その迎撃機6機は一瞬で撃破された。

「撃破確認!」
「弱い!!」
「(あなたの腕がいいからよ、祐一っ、)」



「ひょぅ!相変わらずいい腕だな・・・・」

ペアの機体のガンナーシートに座る男が感嘆のため息をもらす。

「こちらも行きますよ?」
「OK、こっちは右舷から突っ込むぞ!」
「了解!」


目標にしたのは巨大戦艦であり、コックピットには戦艦の装甲が大きく写る。
その圧迫感は、なれてるハズの香里にも、かなりのプレッシャーを与える。

「祐一っ、まだなの?!」

相対速度の修正値を絶えずインプットしなおしてるガンナーシートの香里が少し焦った声で叫ぶ。

「いくぞ!!!5!4!3!2!」

真っ白な地の色に、赤で段だら模様が書かれている戦闘攻撃機は、
戦艦のエンジンブロックに肉薄している。

ビリビリビリビリビリビリ

最大出力なのか、エンジンの振動はコックピットにまで響いてくる。

「撃てぇ!!!」
「はいっ!!フォックス3!!!」

両舷から至近距離で打ち込まれたミサイルは、戦艦の装甲を突き破り、
見事エンジンブロックを破壊。

「続いてD!!」
「何処に?!!」
「ばら撒けばいい!!」
「わかったわ!フォックス4!!」

迎撃に集まりつつある敵戦闘機をミサイルで打ち崩す。

「お?」

ミサイルが全部敵機に命中し、パイロット相沢祐一は驚きの声をあげ、
嬉しそうな声で、ガンナーシートの美坂香里が答える。

「ちゃんと弾数分ロックオンしたわよっ」
「さすがだな、香里。」

2機の戦闘攻撃機は速度を維持したまま双方クロスして反転、
母艦の空域に引き返して行った。
戦艦は弾薬庫にも被害が及び、爆発轟沈していった。

「追尾する敵機無し、推進剤残り20%、戻らないと危ないわね・・・・」
「一弥、ミサイルの残弾はどうだ?」

白地に金のだんだら模様が描かれているペアの戦闘攻撃機のパイロット、
倉田一弥がバイザーを上げ、チューブタイプのドリンクを口にしながら答える。

「こちらはDパートが残っています。」
「格闘戦のやりすぎで燃料がやばいがね。」

ガンナーシートの北川がからかう様に口を出す。

「北川君は命中率がねぇ・・・・」

香里もドリンクを含みながら口を出す。

「そうです、北川さんが命中させてくれれば無駄に白兵をする必要も無かったんですよ?」
「ぐはぁ・・・・」
「しょうがない、待機の久瀬、斉藤に出て貰い、俺達は近くの空母で補給だ。」

香里から受け取ったドリンクを含み、祐一が指示を出す。
ゴミを受け取った香里の顔が赤くなっていたことに、誰も気付いてなかった。

「2番機了解。」

再びバイザーをおろして通信を切る一弥。


地球艦隊旗艦、宇宙戦艦ムスペルスヘイム

「敵旗艦轟沈!、敵艦隊に混乱が見えます!」
「頃合いと言うのか・・・・」

今まで艦長に任せて黙っていた司令が口を出した。

「相沢大佐、転進です。」
「司令・・・・」
「敵が混乱してる今のうちです。」

艦長は司令に身を乗り出し反論する。

「残存兵力で一気に突破しましょう!」
「駄目だ。」

言葉に詰まる艦長、司令は冷静な声で言った。

「全残存艦艇に通信、γ−445まで転進する。」
「・・・・・了解しました・・・・」
「生存者救出に、第一宙雷戦隊を残す、条約による救助シグナルを・・・・」
「艦長!!敵戦艦に旗艦旗確認!砲撃来ます!!!」
「なんだと?!」

航宙戦艦フリッグ、パイロット待機ボックス

「祐一!敵が戦闘を再開したわっ、!」
「なにぃっ、!」



続く



FORZA〜フォルツァ〜

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