con molt espressioneショートショートオムニバス・毒入り




「宅急便で〜す」
「は〜〜い。」

ぱたぱたと玄関に現れた美坂菜織(主婦)
送られて来た荷物を見て唖然とした。

「あの・・・これは・・・」
「お宅の栞様宛でチョコレート2t代引ですね・・・」
「・・・・・」

ぴきぴきと額に青筋が何本も浮かび、その形相に宅配便のにいさんも引くほどであった・・・

「あ〜〜届いたのですね〜〜」

そんな母の様子を知らずに栞が二階から降りて来た。

がしっ!

「えうっ!」

受け取ろうと玄関を出ようとした栞の頭部を母の手が掴んだ・・・・

「し・お・り・・・・これは一体何なのかなぁ・・・・」

ぎりぎりぎり・・・・・

「え、えう〜・・・・い、痛いですお母さん・・・」
「こんなもの・・・誰が払うのかなぁ・・・・し・お・り・ちゃん?」

ぎりぎりぎりぎりぎり・・・・・

「それはおかあ・・・・い、痛い痛い痛いですぅ〜・・・」
「自分の残金知ってる?栞・・・・」
「えぅえぅえぅえぅえぅえぅえぅ・・・・・」



結果
受け取り拒否
御飯は辛い物のオンパレード
外出禁止
台所侵入禁止

「えぅ〜〜・・・祐一さんへの愛情のこもったチョコを贈る事ができませ〜〜ん・・・・・」



チョコを作る時間が無い名雪
どうやっても炭にしかならないあゆ
味見で用意したチョコを全部食べてしまった麻琴
ジャム入りにした為に受け取るのを回避されてしまった秋子
ヴァレンタインを忘れて牛丼を食べていた舞
無事に祐一にチョコを渡せたのは・・・・


昼休みの屋上・・・・

「こういうのはどうかしら?」

香里はチョコを銜えて祐一に差し出した。
ポッチーでは無いので一口で唇が重なる・・・・
香里が舌で押し出すと、
祐一も負けじと押し返す・・・・
いつしか舌を絡めて二人でチョコを味わっていた。

「ん・・・・」
「香里・・・ブラックチョコなのに甘いぞ・・・・」


放課後・・・

「相沢さん・・・わざわざすいません・・・」
「いや、天野の部屋に入れて貰えたのだからな・・・感謝こそすれ・・・だ。」
「恥ずかしいので余り見ないで下さい・・・」

美汐が出して来たのはホットチョコレートだった。

「暖冬とはいいますがここら辺は寒いですから・・・」
「さすがだな、美汐・・・」

美汐と名前で呼ばれて美汐は頬を染める。

「バレンタインでチョコを作るなんてした事が無いので・・・・」
「なるほど・・・では早速頂こうか・・・・あれ?」

カップを取ろうとした祐一だが、美汐がさっとカップを取って自分の口に含んだ・・・

「え〜〜っと・・・ひょっとして?」

こくん

頷くと美汐の顔が祐一の顔に近づいて・・・・


「あははは〜っ、佐祐理はチョコで下着を作ってしまいましたぁ〜」

夕方、佐祐理に呼ばれて向かったのが倉田家、
佐祐理も自分の部屋に祐一を通すと

「ちょっと待っていてくださいね〜」

と部屋を出て行ったのだ。

戻って来た佐祐理は何故かバスローブに着替えていて
すとんと佐祐理がローブを落とすとそこには編み込まれたチョコで出来た下着を着た佐祐理が居た。
二つのさくらんぼが丸見えだったりする・・・・

「チョコだけで無く、佐祐理も食べていいんですよ〜っ、」





「なんでこうなるのかなぁ・・・・」

集る4人に嫌気がさしていた祐一は大学を北の街から簡単には追いかけて来れない遠く離れた西の大学へと進学していた。
そこでとある2LDKのマンションに念願の独り暮らしを実現したのだが・・・・

怪我で入試に間に合わなかった佐祐理と舞が一浪して祐一と同じ大学に進学。
色々と理由を付けて同じ大学を香里までも受験して合格していた、
ちなみに名雪は遅刻の多さでせっかくの陸上の記録を持っていても推薦を取れず、地元大学に補欠で合格。
祐一と同じ大学を受験したのだが寝坊で受ける事が出来なかったのだ、起こさなかった祐一に文句を言ったが祐一は一蹴。
あゆと真琴は義務教育分の勉強中。
真琴は保育士の資格が目標、あゆは大検を目指している。
栞は留年したものの学園生活を満喫中。


香里と佐祐理の二組は祐一の両隣に引っ越して来た。
しかも当日にベランダにある仕切りのパーティーションを外して玄関を通らないで入ってこれる様にしているのだ・・・
ベランダの鍵を常時開けておく事を約束させられたがここは6Fだからまぁいいだろう・・・

そして受験シーズン。

美汐までが同じ大学に受験しに来ていた。
どうやら香里と同居するという事で両親を説得したらしい・・・・
まだ合格していないので香里の部屋に泊まる形である・・・

「そういえば香里の部屋のもう一つの部屋が空けてあったんだよなぁ・・・・」
「祐一、ブツブツ独り言言ってないでお皿運んでよ。」
「了解、香里。」

良かったと言うべきなのは食生活、この一言だ、
何故か食事はオレの部屋に集まるのが決定事項の様で、
日替わりで佐祐理さんと香里が作ってくれる・・・
来年度には美汐もローテーションに入るのだろう。
一応休日は俺の担当だ、全部任せてるなんて事はしていないぞ?

さすがに全員学部が違うので同じ課目以外を一緒に勉強する訳にもいかないので勉強は各自の努力となる、
お互いの共通課目は揃って同じ授業を選択しているので
まだ専門課程でないうちは楽しい勉強会・・・・

にならなかった・・・・
一応在る程度は勉強をちゃんとしているのだが、みんなの格好が裸ワイシャツだったり・・・
ノーブラタンクトップにミニスカートだったり・・・夏は部屋に入ったとたんに下着姿だったりするものだから・・・・
理性が失われるのも当たり前だ・・・・

今日も美汐の全日程終了のお祝いで佐祐理さんと香里がご馳走を作っているのだが・・・・
台所に立っていない舞と、今回はお客さん扱いの美汐までもがはだえぷってのはどうよ・・・・

「ふえっ・・・駄目でしたか?」
「いえ、ジャストミートです。」

いつの間にか横に来ていた佐祐理さんが若干涙目で見つめてきていた。
ので俺はさらっと佐祐理さんの背中を一撫でしてサムズアップで返しておいた。

「ひゃんっ・・・もう・・・佐祐理達は今夜のメインディッシュなんですから、まだ手を出しては駄目ですよ〜〜っ」




「同じ夢を見てたんだよな・・・俺達は・・・」
「・・・」
「そしてそこから帰って来た・・・」
「・・・・」

「・・・もし・・・」

「もし、奇跡を起こせたとしたら・・・相沢さんなら何をお願いしますか?」
「・・・ん・・・そんな事・・・決まってる・・・」

「天野・・・美汐と一緒に帰って来るのを待つさ・・・」
「何時になるかわかりませんよ?もしかしたら生きてる間に帰ってくるとはかぎりませんし・・・」
「だから、ずっと一緒に待とうぜ?」
「・・・私を落とすのは奇跡に頼らないと駄目なんですか?」
「どう思う?」
「その必要は無いと思いますよ?」
「それは脈アリと見て良いのか?」
「相沢さんは一目惚れって信じます?」



EDとして走り損ねたあゆが雪の中にこけて埋もれていた。




「え〜本日は華音地方観測史上記録的な寒波に見舞われた訳ですが、
悲しい事件が起こってしまいました。
本日15時頃、駅前のベンチにおいて相沢祐一さん17歳が凍死してしまうという痛ましい事件です。
死亡した相沢祐一さんは両親の都合でこの華音市にある叔母の家に住む事となったのですが、
1時に迎えに来るという言葉を信じてなんとそれから二時間待っていたと言うのです。
雪が積もってもじっとしている事に通行人の方が声をかけ、大急ぎで病院へ運んだのですがすでに死亡していたという事です。」

後ろのモニターに駅前のベンチが映る。

「あ〜現場です、まだ現場のベンチにはぽっかりと座っていた跡が残っています、
迎えに来るはずだった従姉妹の少女Aは何でも自分が迎えに行くと強引に母親に告げ、
自分が言ったにもかかわらず部活から帰って速攻眠ってしまったと言う事です」
「そう自供しているのですか?」
「はい、どうやら迎えに行く事は部活でも言いふらしていたとかで、多数の証言があるのですが・・・」
「それで?」
「どうもその少女Aは学園でも有名な眠り姫と呼ばれる少女で、一度寝たら起きないとか、遅刻しない方がおかしいと言われてる様です。」
「つまり眠ってすっぽかした、又は遅刻して行ったが間に合わなかった。と言う事でしょうか?」
「おそらくそうだと思います。現在少女Aとその母親は警察にて事情聴取を受けている模様です。
警察では故意の線で走査しているみたいです。」
「痛ましい事件でした・・・・続いてのニュース、七年間眠り続けていた少女・・・・・・」




「・・・・名雪・・・・馬鹿ね・・・睡眠を取って七年の想いを壊すだなんて・・・・でも・・・馬鹿はあたしも同じか・・・・」

香里は天窓から見える月を見上げて隣の部屋を意識した・・・





「秋子さん、このジャム何で作ったんですか?」
「知りたいですか?」
「はい。」
「秘密です♪」
「・・・家族に材料を教えられない物を食べさせるのですか・・・やっぱりそうなんだな・・・」
「あ・・・・」
「わかりました、今後食事はいりませんので用意しなくて良いですから叔母さん。」
「そ、その・・・ごめんなさい・・・」
「いいんですよ、二時間待たされた時点で歓迎されていないのは解っていますから・・・」
「そんな事ありませんっ!名雪はともかく私はっっ・・・」
「時間に間に合わないので行きます。」




「・・・・最初が肝心って言うけど・・・・待たせたのと冷えた缶コーヒー・・・・根に持ってるんだね・・・祐一・・・・」

玄関の外でうにゅぅと頭を垂れる名雪だった。




「ホント見る目無いわね、相沢君・・・・」
「!」
「大きなお世話だ・・・・」
「よけいじゃないわよ・・・・」

「だって栞は・・・・」

「栞は・・・」

「・・・・・あたしの妹なんだから。」
「そりゃぁ俺の好きな香里の妹だぞ?俺にとっても妹同然だ。」
「わ、私のシナリオじゃなく、お姉ちゃんのシナリオなんですか?!」

栞のつぶやきが雑踏に消え、
香里は祐一の胸に飛び込んだ。

「あ、あたしも・・・あいざ・・・祐一の事が好きよ。」
「えぅ〜〜わたしをダシにされてお姉ちゃんの恋が実ってしまいましたぁ〜〜」

祐一もそっと香里の背に手を伸ばして抱きしめる。

「香里・・・」
「祐一・・・」

「えぅっ、無視ですか?恋する二人にはもうわたしの事は視界に入って無いんですかっ!」
「うぐぅ・・・・次回からボクのストーリーになるハズなのに・・・」
「私のお話も丸ごと残ってる・・・・」
「俺は動かし安い引き立て役でしか無いのかぁ・・・・」
「わ、私は名前の無い同級生ですから・・・」



動画キャラからいきなりモブキャラとなってしまった5人だった・・・


声優ネタ




「・・・生き霊、妖狐、超能力者、不治の病・・・俺にSOS団華音支部を作れって事か?」
「・・・声優ネタ出来るの相沢君だけじゃない・・・・」
「リメイクベースなのかっ?!」
「だからこのネタ何じゃない?」「
「だな・・・他だと・・・」
「私でしょうか?」
「うわっ天野っ、いつのまに・・・・」
「私と相沢さんなら・・・あと北川さんもですね」
「いや、天野はメインだったけど、俺はSP4で名前さえ出してもらえない整備員だぞ・・・・北川は前作とちがってあまり暴走していないが・・・」
「でも私・・・餓鬼の相手だったんですよっ、そんな酷な事ありません。」
「・・・その相手って・・・三人目の土見稟よね・・・」
「そういえば祐一さんが二人目の土見稟でしたね・・・」
「ちなみに一人目の土見稟は映画の往人さんと同じ人ですよ〜〜〜〜っ、」
「ルックス重視のド下手アイドル声優とかPC出身の源氏名を持つ声優が増殖する中、男は使い回しが多いって事だな・・・」
「あら、あたし達は表だけよ。」
「「本当か?」
「さぁ・・・・」
「さぁって・・・」

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