二人の四季・夏まっさかり


瀬戸内海に浮かぶ島の一つにある浮島桟橋に
海を眺めるカップル二人

「良い所ね、大三島って・・・」

寄り添う少女がつぶやく

「そうだな・・・」

少年も海を見ながら答える

「ほんと、二人っきりなら最高ね・・・」
「そうだな・・・」

少し気の抜けた返事、少女は試しにぼそぼそと言ってみる。

「・・・・」
「そうだな・・・」

変わりない・・・

「なによ・・・あたしと一緒は嫌なの?」

ぐいっ、と顔を向かせて正面から覗き込む

「そんな潤んだ目で見ないでくれ・・・」

少年は、苦笑しながら答える

「答えて・・・」
「・・・香里と一緒で楽しくないハズは無いだろ・・・」

そう言って祐一はぎゅっ、と香里を抱きしめそして、KISS。

「じゃ・・・」
「二人っきりで来るはずだったのに・・・」
「そうね・・・」

香里の言葉を遮る用に祐一は言葉を続けた・・・



事の起こりは期末テストの時だった。


「やった〜ついに期末が終わった〜」

おおきくのけぞる様に両手を挙げて、身体を伸ばす祐一

「う〜・・・いいよね・・・香里も祐一も成績いいから・・・」

惨敗なのだろう名雪が眠そうに、(毎度の事だが・・・)つぶやく

「そうね、今度の順位は奪回よ、祐一。」

今回は自信アリ、と祐一に香里も声を掛ける、
転校や、名雪のせいで(う〜〜酷いよ〜・・・)授業中は寝てばかりの祐一は、
元々飲み込みが早いのか、学校の七不思議に新規追加されるほどに成績が良かった。

(ちなみに無くなった不思議は「真夜中に魔物と戦う少女」だったらしい・・・)

「どうかな?」

さらっと返す祐一、こちらも自信有りげだ・・・

「あ・・・そう言うこというの?」

ちょっと拗ねて、ちょっと頼もしげに香里は覗き込む様に祐一を見る。

「そうだな・・・俺に勝ったら夏に二人でどこか泊まりがけ旅行に連れてってあげよう。」
「そうね、じゃ、祐一が勝ったらワリカンでいいからどこかに連れていってね。」

結局二人で旅行しようって教室で公言しているにすぎない・・・
しかも、そばに誰も居なければキスしそうな距離で会話してるのだ。
当然、祐一を奪おうと虎視眈々と狙う名雪は面白くない・・・

「う〜・・・・わたしの前でいちゃつかないでよ〜・・・」
「☆◎〇♀〒!刀∀ΘЖ♭♭み・さ・か・・・」

すでに言語が不安定な金髪アンテナ男が何か言っているのだが、それを気に留める者は皆無だった・・・
あはれなりけるを・・・
そしてその様子を教室に外で覗き見る集団・・・

「ぇぅ・・・祐一さん、お姉ちゃんと二人っきりの旅行なんて・・・」
「はぁ・・・相沢さん・・・そんな酷なことは・・・」
「はぇ・・・」
「・・・・・・ずるい」

おやおや・・・卒業したはずの人も紛れてますね・・・

「どうしたら、お姉ちゃんと祐一さんの二人っきりを阻止出来るのでしょうか・・・」
「そうですね・・・行動の読めない人ですから・・・」
「あははは〜っ、佐祐理にお任せですよ〜っ、」
「・・・・そう」
「どうするんですか?佐祐理さん・・・」
「それはですね・・・」

と、廊下での密談は目立つこと、目立つこと・・・
気が付いたら名雪も加わっていた・・・
さて、肝心のふたりは・・・

「さて、何頼む?」
「そうね、アイスコーヒーがいいわ。」

百花屋にいた、

「何処にするの?」
「ん?旅行先かい?」
「うん、」
「もう決めてある。」

香里にしか見せない笑顔で祐一は返した

「ホントに?」
「あぁ、予約も入れたからな。」
「用意周到ね。」

手回しの良さに、呆れた振りをして香里はつぶやいた、
二人にとっての誤算は、祐一が大三島の名前を出した時に、
ウェイトレスが飲み物を運んで来た事だろう・・・

二人が出たあとに、百花屋に来た名雪達は、そのウェイトレスから、大三島の名を聞くのだった・・・
あとは、佐祐理が旅館を調べ出し、同じ旅館にみんなが予約を入れたのだった・・・



ぞくぅ・・・・

「ねぇ・・・祐一・・・」
「あぁ・・・何か悪寒がしたな・・・」

二人は顔を合わせ、悪い予感を振り払うが如く熱いキスを交わした・・・



続く・・・


大波乱を予感させる次回予告!

「ねぇ、祐一、この展開って・・・」
「言うな、香里、言ってしまうと現実になるぞ・・・」
「そうね・・・でも・・・」
「そうだお〜、香里〜」
「「な、名雪!!」」
「あはは〜っ、祐一さん、佐祐理ともらぶらぶして下さいね〜」
「そうですよ、相沢さん、作者は私と相沢さんとのらぶらぶをまだ書いてくれないのですから・・・」
「佐祐理さんに美汐・・・」
「あれ?あとの4人はどうしたの?」
「あははは、絶対メインにならない人は裏工作ですよ〜」
「「裏工作?!」」
「そうですよ〜っ、佐祐理と、祐一さんが愛を確かめるという壮大な計画の準備ですよ・・・(ぽっ、)」
「倉田先輩、それは酷というものです・・・私だって・・・(ぽっ、)」
「祐一・・・」
「か、香里、このSSでは香里にぞっこんらぶらぶだからな!あ、安心しろっ、」
「うん、あたしは祐一を信じる。」




「う〜〜〜・・・・忘れられてる・・・」

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