二人の四季・夏まっさかり

定期試験の結果発表

「どれどれ、今回は・・・と・・・」
「楽しみね。」

祐一と香里は校内だというのに腕を組みながら、掲示板を覗き込む
周りからは、妬みと羨望の視線が浴びせられているのだが、
二人が放つらぶらぶふぃーるどに遮られて届かない

「おやおや・・・」
「あらあら・・・」

、祐一と香里は同率一位

「順位は一緒だな。」
「そうね、やっぱり気が合うのかしら?」
「そりゃぁそうだろ、俺と香里は天下無敵のらう゛ぁ〜だからな」

香里のほっぺをふにふにしながら祐一が答え

「な、何言ってるのよ、そんなのあたりまえじゃない。」

真っ赤になりながらも肯定する香里
いちゃいちゃとバカップルぶりを披露する二人に

「うぉぉぉ・・・・美坂ぁ〜〜〜〜・・・」

とか、

「相沢め・・・・佐祐理さんだけでなく・・・・おのれ・・・」
「いいなぁ・・・美坂さん・・・・」

などの声が漏れていた・・・
ちなみに名雪は赤点補習者リストの全教科に名前があった・・・

帰り道、いつもの百花屋に二人、
二人掛けのテーブルでなく、四人掛けのテーブルに座るのは、
二人寄り添って座る為・・・・

「さて・・・決まったはいいが、問題は資金だな・・・」
「貯金はしなかったの?祐一。」
「イチゴサンデーにバニラアイス、にくまんにたいやき、牛丼・・・
俺に奢らせる事を目的とするのが多くてな・・・」
「ごめんなさい、そのうちの一人の姉として謝っておくわ・・・」
「いや、いずれ義妹になるんだから、な。」

といいつつも顔を赤くしてコーヒーを煽る祐一

「そ、そうね・・・」

おなじく香里も顔を赤くして紅茶を飲む

らぶらぶふぁいぁ〜なフィールドの影響か、今日の百花屋のカップル全部が熱く語っていたのは
別の話。

「それは問題ないっ、!」
「「えっ、?」」

二人の後ろに立っていたのはロマンスグレイなだんでぃのおじさん

「おとうさんっ、?」
「よっ、香里、いやいや〜今日は仕事で近くに来たものだからな。」

そういって美坂父は二人の向かいに座る。

「祐一君、香里は君に迷惑はかけてないかな?」
「な、何言ってるのよっ、おとうさんっ、!」
「大丈夫ですよ、香里・・さんは学年主席に顔良し、器量良しに身体の相性も抜ぐはぁ・・・」

ぎゅぅぅぅぅぅ・・・

「バ、バカっ、何言ってるのよっ、!」
「いてててて・・・脇腹を抓るな、香里・・・」
「よけいな事まで言おうとするからでしょっ、」

そんな二人を嬉しそうに見ている美坂父
一度祐一と朝まで飲んでから、よほど気に入ってるらしい。

「あっはっはっは、私や妻の前でもいつも通りに香里を呼ぶといいぞ、祐一君、
どうやら夏に旅行に行く予定みたいだが、資金は任せてくれたまえ。」
「え?」
「ま、これに記入してくれるのが条件だが。」

と差し出してきたのは婚姻届・・・
保護者の欄にはキッチリと美坂父の名前が書いてある、
さらに・・・

「げっ、親父の名前まで・・・この筆跡はお袋だな・・・」
「うむ、この前、祐一君の両親に連絡を取ってな、婿養子に欲しいと言ったのだが一人息子故に
断られてしまったのだ、あっはっはっは。」
「はぁ・・・」
「嫁にやっても義理の息子には違いないからな、」
「おとうさんっ、」

香里は真っ赤になって、上手く言葉が出ないみたいだ・・

「つまり・・・これは俺が18歳になったら即籍を入れろって事ですか?」
「そのとおりっ、!」
「・・・・・嫌かね?」

顔はにこやかだが、断れない雰囲気で迫る美坂父

「ほれ、香里はもう記入しているぞ」
「え?」
「あ・・・・・・てへっ」

祐一が顔を横に向けると、香里は妻の欄に自分の名前を書き込んでいた・・・

「祐一・・・・嫌?」

香里の対祐一の必殺技の一つ、上目遣いの涙目攻撃
祐一は言葉でなく行動で答えた

「よ〜〜し、祐一君の誕生日に早速出しておくからな、
それでは、仕事が残っているのでこれでっ、」

美坂父は分厚い封筒を伝票と引き替えに置いて行った。

「今日のお父さん・・・いつになくハイテンションだったわね・・・」
「・・・この分厚い封筒は?」

香里は封筒を手にとって中を見る・・・

「ゆ・・祐一・・・・こんなに入ってるんだけど・・・」
「へ?・・・・・」

諭吉さんが100近く・・・
中には手紙が一言・・・

「「早く孫の顔が見たい・・・」」
「しかも両親ズの連名で署名が・・・」
「お父さんったら・・・」

百花屋を出た二人は公園の木々の木陰に来ていた。

「いいのかな・・・」
「不満がおあり?」

穏やかに微笑む香里だが、そのカカトは祐一の足の甲にあった・・・

「いえ・・・ありません・・・むしろ光栄です・・・」
「良し」

などなど、気温の暑さもなんのその
二人しっかりと手を繋いだまま。
キラリと光る香里の指輪、
誕生日に祐一がプレゼントしたものだ、
さすがに学校だとはめていないが、校舎を出たとたんにはめている

公園の木にもたれて談笑する二人を見つめる8つの目

「ぇぅ・・・祐一さんがお姉ちゃんにいじめられてますぅ・・・」
「あはは〜っ、祐一さん、佐祐理はそんな事しませんからね〜」
「あのように仲の良い所を見せつけられる・・・そんな酷な事は・・・」
「・・・美汐、おばさんくさい・・・」

と、二人の後を付ける暇な4人であった・・・
因みに名雪は・・・
「う〜〜陰謀なんだお〜〜〜!!・・・」
「水瀬!黙って問題をやれ!!
「だお〜〜・・・」

名雪は祐一に奢らせすぎたが為、香里との交際宣言のあと、
一切の脅迫にもイチゴサンデーを奢ってもらえず、
紅生姜や沢庵で脅すと、祐一は香里の家で香里の手料理を食べてくる、
朝も起こして貰えなくなり、遅刻が増えて、
結果、成績ががた落ちとなったのだった、
ま、自分の要求は脅しても通すのに、相手の事は考えないのが悪いのだが。
祐一も、秋子さんがイチゴサンデーのレシート提示でお小遣いの補填をしてくれなければ
もっと早くに見捨てていただろう。


さて夏休みも真っ盛り、祐一と香里は佐祐理、美汐、舞、栞に後を付けられて
旅行へと出かけたのでした。
え?あゆと真琴?それは・・・・

「うぐぅ〜・・・たいやき売ってるお店が無いよぉ〜〜〜〜〜」
「あぅ〜・・・にくまん・・・・」

と、禁断症状に、街中を走り回っていたのです・・・
まぁ眠っていた分の勉強と休み中の保育士のローテーションでまとまった休みが作れなかったのですが・・・・

「ふふっ・・・」
「どうした?香里」
「電車での長旅なんて初めて。」
「そうか、俺はあの街まで電車だったからな。」
「そうね」

窓の風景をみながら談笑していたふたりだが、
いつしかお互いに寄り添って眠るのであった。

同じ車両の一番後ろ、怪しい変装をした4人の姿があった。
その中の大きな麦わら帽子で白いワンピースの留年貧乳少女は・・・

「ピクっ、まだ発展途上なんですぅ・・・」
「??栞さん、誰に言ってるのですかぁ?〜」
「いえ・・・」
「美坂さん、目立っては駄目です。」
「ぇぅ〜・・・」

おおきなベレーにふんだんにフリルでふわふわの格好をして、怪しいステッキを持った栗色の髪の少女と
和服に身を包んだ少女がたしなめる

「ちゃんと振り袖ですからねっ、」
「・・・・・美汐もうるさい」

長い黒髪の少女はフランスの近衛騎士の格好で剣を抱えて壁に寄りかかったまま振り袖の少女をたしなめた。
美汐なら、おばさんくささで留め袖と言いたいのだろうけど、留め袖は既婚者が着るものなので、
振り袖を着ているのだ、しかし色は地味地味地味・・・

せっかく予約先まで調べて同じ宿に予約を入れた佐祐理達だったが、
祐一が家族露天風呂のある宿に変えてしまった事に気が付いていなかった。

「あはは・・・・祐一さんはこの宿に予約していたはずですのに・・・・」
「この旅館のお風呂は塩風呂ですぅ・・・辛いですぅ・・・」
「あはは〜っ、アイスも塩アイスでしたね〜」
「えぅ〜・・・」
「大山祗神社には日本でも唯一の女性用の紺糸裾素懸威胴丸があるそうですね・・・みなさん行きましょう。」
「祐一に会えるのかな?・・・」



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