大正追奏曲 大正浪漫は、あはは〜っ、ですよ〜

つぅ〜っ、ですよ〜




朝、軽やかに走り廻る足音に目を覚ます、軍ではもっとむさ苦しくてやかましはずだ。

「・・・・・」

着任の気付は明日からだから、今日は寝ていられるはず・・・
総員起こしのラッパもここでは聞こえない。

「・・・・・」

布団を被り直し再度心地よい睡眠へ・・・

「又、寝てしまうのですか〜っ、」

甘く澄んだ声が耳元から・・・・

・・・・・・・・・耳元?

ばちっと擬音のするが如く目を開けるとそこには

「天使の笑顔・・・・」

の、佐祐理さんが俺の顔を覗いていた

「あはは〜っ、天使さんだなんて・・・佐祐理はちょっと頭の悪い、普通の女の子ですよ〜」
「少なくとも、普通の女の子は朝から男の部屋には来ない。」
「あははは〜っ、一本取られた〜ですね〜」

なんか、この笑顔は麻薬だ・・・目が離せなくなってくる。
とりあえずごまかしも兼ねて時計に手を伸ばすが
時計は無かった・・・

「あれ?」
「どうしました?」

がばっと、身を起こして部屋を見回す
ベットと机以外何も無い部屋だった。

「・・・あれ?ここどこだ?」

そういえば昨日から下宿先に来ているのだったな・・・
やけに柔らかい布団を抱えたままカーテンを開けてみる

「きゃっ・・・」

きゃ?・・・・声に気付いてみると
俺の体に乗り出して顔を見ていた佐祐理さんを布団ごと抱きしめていた

「あ、すまん・・・」

顔に血が上る・・・・
佐祐理さんも顔を赤くしている。

「あ、あの、祐一さん、朝食出来ていますので、食堂へ・・」
「あぁ、着替えてすぐにいくよ。」

ぱたぱたと部屋を去っていく佐祐理さん・・可憐な足取りだ・・・

少ない荷物をほどき、15分間の海軍体操
冬も上半身裸で行う此海軍の伝統・・・・
しかし寒い・・・

そうして軍服を着て食堂へ・・・
しかし・・・なぜこの人がいるんだ?しかもメイド服で・・・

「あら・・・祐一さんおはようございます。」

俺の母の妹。つまり叔母の水瀬秋子さんだ。

「あらあら、私はこの屋敷のメイド頭なんですよ。」
「いつからです?」
「もう一年でしょうかしら。」

それか・・・おふくろが連絡が取れないと嘆いていたのは・・・

「祐一さん朝ご飯ですね。」

相変わらずのマイペース・・・・

「あはは〜っ、祐一さん遅いですよ〜」
「佐祐理さん、すまない、朝の日課があったので・・」

俺は、座ろうとする佐祐理さんを介錯してから

「俺はどこに座ればいいにですか?秋子さん」
「祐一さんは、ここですよ〜」

佐祐理さんがちょいちょいと指し示すのは佐祐理さんの右隣、

「こ、こんなに椅子があるのに、佐祐理さんの横でいいのかな?」
「祐一さんは、佐祐理の許嫁だからここでいいんですよ〜」
「なるほど、そういうものか・・・・・・・・・・・・・・・・へ?いいなずけ???」
「はい、佐祐理は祐一さんの許嫁ですよ〜」










・・・・・いつのまにそんな事になったんだ?
ひょっとしてこの任官は仕組まれた?



つづく



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