大正追奏曲 大正浪漫は、あはは〜っ、ですよ〜

しっくすっ、ですよ〜

俺、相沢祐一海軍少尉は、勤務地に顔を出して先任将校との挨拶をすませたあと、
予定に入っていた、女学校への剣術指南・・・急遽決まったらしい・・・の為
愛用の一式を担いで街を歩いていた、部下が車を用意したのだが、街中の警備も兼ねると言って、
歩く事にしたのだ。

「・・・一人で歩きたいのだがな・・・」

祐一はこの地区の警備隊隊長である、望まなくとも護衛が付いてしまうのだ・・・
今も後ろにはビシッと決めた海軍兵が数人・・・

「あら?祐一さん。」

天の救いか、声を掛けてきたのは秋子さんだった。

「秋子さん、買い物ですか?」
「えぇ、食材は自分で判断しないと駄目ですから、」

お得意の、頬に手を当てた格好でにこやかに答える秋子さん

「・・・荷物持ちを付けましょう。」
「いいのですか?」
「無理にでも付けます。」
「了承。」
「オイ、貴様ら、俺の叔母の秋子さんだ、全員護衛と荷物持ちで手伝え。」
「た、隊長・・・自分らは、隊長の護衛が任務でありますので・・・」
「・・・一般臣民を守ることが、帝國海軍の本意ではないのかね?」
「ハ、その通りであります。」
「命令だ、このご婦人の護衛をしつつ、街の無法者を殲滅せよ。」
「了解であります。」

護衛の兵を秋子さんに押しつけ・・・
・・・兵達の顔が喜んでいた様な・・・

祐一は女学校へ入る

「あっ、祐一さ〜〜〜ん!!!」

一歩入ったとたんに、祐一は佐祐理に発見された・・・
教室の窓から、ぶんぶんと手を振る佐由理、
授業中だったのだろう・・・
年寄りの声で、「倉田さん!!」と怒鳴る声も聞こえる・・・

「なぜ解ったんだ?・・・」
「其れを問うのは酷というものです・・・」

体操服の少女がボソっと通りすがりにつぶやいて行った・・・

「?」

その少女の後ろ姿を唖然とみつめ・・・

・・・あとで香里に
〜「デレーっと体操服を見つめて・・・見たいなら佐祐理さんとあたしがいくらでも見せて上げるのに・・・」
と、からかわれたが・・・〜

・・・てしまい、ハッと我に返る祐一。

「あの、海軍少尉の相沢といいますが、学長先生にお会いしたいのですが・・・」

受付に声を掛けて校長室へ、
この学校では、見事に女性しかいないらしく、放課後までのわずかな間、
祐一にとっては機関銃なごときおしゃべりに付き合わされた・・・

・・・放課後・・・

「あははは〜っ、祐一さんお待ちしておりましたですよ〜っ、」
「お手並み拝見ね、少尉。」

やっぱり・・・剣術部にいると思った・・・

「天野美汐です、よろしくお願いします、一応副部長を務めさせていただいています。」

・・・さっきの娘だな・・・

「ちなみにあたしが部長よ、少尉。」

・・・しかし・・・何故この3人以外はむさ苦しいのしかいないのか・・・

「あははは〜っ、ほとんどの人が学校の用心棒さんですからね〜っ、」
「な・・・何故考えてる事が・・・」
「祐一さんですから。」
「・・・解った様な・・・解らない様な・・・」
「あはははは・・・」
「しかし・・・」
「はぇ?」
「佐祐理さんは、てっきり弓道部だと思っていたのですけどね・・・」
「少尉・・・佐祐理さんは去年、皆中で全国優勝してしまってから、剣術部にも参加して下さってるのよ。」
「そうなのか・・・さすが佐祐理さん。」
「あははっ、照れてしまいますですよ〜」

そこに美汐が声をかける

「相沢少尉さん、本日はどの様にいたしますか?」
「そうだな・・・まず、身体をほぐしてから・・・」
「はい。」
「全員の実力を見る為に・・・」
「はい。」
「全員俺と一本勝負。」
「はい・・・よろしいのですか?」
「何か問題あるのかな?天野君。」
「いえ・・・」
「少尉・・・あたしも天野さんも全国大会常連よ?それに・・・みなさんはヤクザも逃げ出すほどなの・・・」
「いいのいいの、」
「はぇ〜・・・さすが佐祐理の許嫁の祐一さんですね〜」
「ところで、薙刀、長刀、短刀のどれを中心にしているのかな?学長先生はどれも使いこなしていると聞いたけど?」

香里が答える。

「あたしが長刀組で、美汐が薙刀組、短刀は懐刀の使い方も兼ねるから、護身用に全員よ。」
「斬馬刀や大刀も扱う方も、いらっしゃいますが、今日はお休みです。」
「そうか・・・」

斬馬刀に大刀か・・・馬ごと斬る刀だが、必要あるのか?

「卒業生には北辰一刀流、免許皆伝の先輩も居るんですよ。」
「そうなのか?」
「そうですよ〜っ、」




あ・・・・・っというまに圧勝する祐一

「・・・こんなに強いなんて・・・」

完敗にショックを隠せない香里

「祐一さんですから〜」

自分の事の様に喜ぶ佐祐理

「・・・と言いながら、「コツつかみました〜」って言ってからの佐祐理さん・・・」

肩で息をする美汐

「そうですね・・・」

涼しげな顔をして祐一が言う

「「「なんでそんなに強いの?」」」

3人の疑問は増えるばかり・・・

他の部員は思った・・・

「私達の存在はこの学校に必要なのだろうか?・・・」






つづく

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