「詩織…」
「公…」
二人は街灯に照らされた公園のベンチで見詰め合っている。
そして、二人の顔がだんだん近づき、詩織は目を閉じた………。
夢の形
「それではっ、無事大学を卒業できた私こと、愛の伝道師早乙女好雄の卒業おめでとうパーティを始めます! ではでは乾杯!! 」
『かんぱーい!!! 』
私立きらめき高校を卒業してから、早七年…。
俺と詩織はストレートで一流大学に進学、卒業をし今では、一流企業に就職している。
そして、今日は久しぶりに高校時代の友人と会って、飲み会をしている。
名目は一応好雄の卒業を祝うのだが、まあ要するに小規模な同窓会だ。
「よう、兄弟。飲んでるか? 」
「おう、飲んでるぞ。それにしても、長かったな…」
「そう言うなよ。これでも早い方だと思ってるんだぜ」
「おいおい…」
七年で早いって…(汗
「いやぁ、一浪で大学に合格できたのが効いたな。俺は二浪はすると思ってたからな」
「で、留年2回かよ…」
「いやぁ、サークルだ!合コンだ!って、忙しくて単位取ってなかったからなぁ」
それは忙しいと言うのか?(汗
「ところで、藤崎さんは? 」
「ああ、今日は急な仕事が入って来れないかも知れないだってよ」
「なんだ、お前は来なくても良いから藤崎さんに来て貰いたかったなぁ」
「おいおい、馬鹿なこと言うなよ、藤崎は公の恋人だぜ。今更お前がちょっかい出しても遅いよ」
俺達の会話に参加してきたのは戎谷 淳。
言うなれば男版学園のアイドル(笑
「おっ、戎谷。酷いこと言うなぁ。これでも昔よりもてる様になったんだぜ? 」
「それは、朝日奈にもててるだけだろ? 」
「うっ」
「そうなのか? 」
「ああ、今は半同棲中らしいぞ」
「一体何処でそんな情報を…」
「さっき本人から聞いた」
そう言われて俺は辺りを見渡すと、朝日奈さんは古式さんと仲良く飲んでいた(古式さんはつまみのほっけなんかを食べてるだけ)
「それはそうと、公? 」
「んっ? 」
「結婚はまだなのか? 」
「ぶっーーー! 」
急な質問に俺は飲んでいたビールを吹き出してしまった。
「きたねえぁ」
「げほっ、げほっ、お前が変なこと聞くからだろ? 」
「変なことじゃないだろ? 俺らももう25だぜ? そろそろ結婚考えても良い年だろ? それに藤崎さんのウエディングドレス姿見たいしな」
「そっちが本音だろ? 」
「あっ、ばれた? 」
「それに結婚なんてまだ早いだろ」
「ううん、そんな事無いよ」
「あっ、美樹原さん」
美樹原 愛。
美樹原さんは詩織の親友で、少し大人しい娘だ。
「女の子は誰でも結婚には憧れるものだよ」
「そうなの? 」
「うん。それに詩織ちゃんは昔から早く結婚したいって言ってたよ」
「えっ!? 」
「と言うことだ、早く結婚しろよ公」
だけど、俺は聞いていなかった。
詩織と結婚。
その言葉だけが頭を占めていた…。
数日後、俺は詩織と食事に出ていた。
「大丈夫なの?ここ結構高いでしょ? 」
「たまにはね、良いじゃないか」
「そうだね」
「美味しかったね公」
「そうだね」
一通り食事が終り、俺達は公園を歩いていた。
「詩織、プレゼントがあるんだ」
「えっ、プレゼント? 」
俺は鞄に入れていたプレゼントを渡した。
「うわぁ、綺麗な指輪。ありがとう公」
「詩織、左手の薬指に付けてくれないかな? 」
「えっ…? 」
「駄目かな? 」
「ううん、そんな事無いよ。嬉しい…」
そして、詩織は指輪を付け、涙を流しながら喜んだ。
「大好き、公」
「詩織…」
「公…」
俺達は街灯に照らされた公園のベンチで見詰め合い。
そして、だんだん二人の顔が近づき、詩織は目を閉じキスをした…。
終り